業界別のメルマガの開封率とクリック率はどれくらい?改善施策も紹介
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日々実施しているメルマガの開封率は業界平均を上回っているでしょうか?またこれからメルマガを新しく始める時、どのような数値を参考にすればよいのでしょうか?
メルマガの効果を最大限に引き出すには、業界ごとの開封率やクリック率の傾向を把握し、適切な施策を講じることが不可欠です。
本記事では、BtoBとBtoCそれぞれの業界別開封率・クリック率データを詳細に分析しました。業界別の特性を踏まえ、効果的な件名の設定方法や配信タイミングの最適化、PDCAサイクルを回しての継続的改善など、開封率アップに直結する実践的なノウハウを解説しています。
メルマガの開封率とクリック率の基本指標
はじめに、業界全体の平均開封率とクリック率、それらの算出方法、正確な測定に必要な要件と注意点について詳しく解説します。これらの情報を踏まえることで、自社のメールマガジンの現状を把握し、改善策を講じることができるでしょう。
業界全体の平均開封率とクリック率
メールマガジンの効果を判断する上で、業界平均値を知ることは重要です。全業界の平均開封率は15~20%、平均クリック率は2~3%程度と言われています。ただし、これらの数値はあくまで目安であり、業種や配信対象によって大きく異なります。
例えば、BtoBでは、コールセンター(51.58%)、娯楽業(51.49%)、農林水産業(50.90%)が開封率上位となっている一方、公務(0.00%)、情報サービス/システム開発(14.59%)、ネットショップ/通販(17.14%)は下位に位置しています。
BtoCでは、団体系(58.15%)、制作・デザイン系(47.48%)、電気・ガス・水道業(49.52%)が上位を占める反面、広告代理店・マーケティング(12.83%)、士業(12.41%)、金融、保険業(17.59%)は下位となっています。このように、業種ごとに開封率に大きな差があることを認識しておくことが重要です。
また、配信端末別では、スマートフォンでの開封率がPCを上回る傾向にあります。スマートフォンの普及に伴い、モバイル端末に最適化したメールマガジンの設計が求められています。
開封率とクリック率の算出方法
開封率とクリック率を正しく理解するためには、その算出方法を知る必要があります。開封率は、配信成功数に対する開封数の割合を表し、次の式で計算されます。
開封率 = (開封数 ÷ 配信成功数) × 100%
一方、クリック率は、配信成功数に対するURL click数の割合を示し、以下の式で求められます。
クリック率 = (URL click数 ÷ 配信成功数) × 100%
さらに、開封者のうちどの程度の人がURLをクリックしたかを表す指標として、反応率があります。反応率は次の式で算出します。
反応率 = (URL click数 ÷ 開封数) × 100%
これらの指標を適切に測定・分析することで、メールマガジンの効果を定量的に評価し、改善につなげることができます。ただし、正確なデータを得るためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
正確な測定に必要な要件と注意点
開封率とクリック率を正確に測定するためには、HTMLメールでの配信が不可欠です。テキストメールでは、開封や画像のダウンロードを検知できないためです。また、配信不能となったメールは測定から除外し、届いたメールのみを分析対象とする必要があります。
ただし、受信者がHTMLメールの受信を拒否したり、画像の読み込みを無効にしている場合、正確な測定が困難になります。こうした制限は、業種や受信者層によって異なるため、測定結果の解釈には注意が必要です。
また、ターゲット層の違いや最適な配信タイミングの差異、コンテンツの優先度など、様々な要因が開封率とクリック率に影響を与えます。単純な数値比較だけでなく、自社の状況に合わせて適切な分析を行うことが重要です。
業界別のメルマガ開封率とクリック率の傾向
続いて、業界別の開封率とクリック率の傾向を詳しく見ていきましょう。BtoBとBtoCそれぞれの業界で開封率が高い業種と低い業種を比較し、その理由を探ります。さらに、業界ごとに最適な配信タイミングがどのように異なるのかについても解説します。
BtoB業界における開封率の高低傾向
BtoB業界では、コールセンター(51.58%)、娯楽業(51.49%)、農林水産業(50.90%)が開封率上位を占めています。これらの業種では、顧客との継続的なコミュニケーションが重要視されており、メルマガが有効な手段として活用されているためと考えられます。
一方、開封率下位の業種は公務(0.00%)、情報サービス/システム開発(14.59%)、ネットショップ/通販(17.14%)などとなっています。公務においては、メルマガの活用自体が限定的であることが要因でしょう。情報サービス/システム開発やネットショップ/通販では、受信者の関心が分散しやすく、メルマガの優先度が低くなりがちです。
BtoB業界では、顧客との継続的な関係性の構築と、受信者のニーズに合致したコンテンツの提供が開封率向上のカギとなります。
BtoC業界における開封率の高低傾向
BtoC業界で開封率が高いのは、団体系(58.15%)、制作・デザイン系(47.48%)、電気・ガス・水道業(49.52%)などです。これらの業種では、顧客とのコミュニケーションにメルマガが積極的に活用されており、受信者にとって有益な情報が提供されていると推測されます。
一方、開封率が低い業種は、広告代理店・マーケティング(12.83%)、士業(司法、会計など)(12.41%)、金融、保険業(17.59%)などです。これらの業種では、メルマガの内容が受信者のニーズと合致していない可能性や、メール件名の工夫不足などが考えられます。
BtoC業界では、受信者の興味関心を引く魅力的なコンテンツの提供と、メール件名の最適化が開封率向上に効果的です。
業界ごとの最適な配信タイミングの違い
メルマガの配信タイミングは、業界によって大きく異なります。BtoB業界では平日の11時から12時(昼休憩前)が最適とされ、BtoC業界では朝8時から10時(通勤時間帯)と夕方17時から19時(帰宅時間帯)が効果的とされています。
この違いは、受信者の行動パターンや業務スタイルの違いに起因します。BtoB業界では、昼休憩前の時間帯にメールをチェックする習慣がある一方、BtoC業界では通勤時間帯や帰宅時間帯にメールを確認する傾向があります。
最適な配信タイミングは業界ごとに異なりますが、受信者の行動パターンを理解し、それに合わせた配信設定を行うことが重要です。配信タイミングの最適化により、開封率とクリック率の向上が期待できます。
メルマガの開封率を向上させる施策
メルマガは、ビジネスにおける重要なマーケティングツールの一つです。しかし、せっかく配信しても開封されなければ、その効果は限定的です。ここでは、メルマガの開封率を向上させるための具体的な施策について解説します。
効果的な件名設定のポイント
メルマガの開封率を左右する最も重要な要素は、件名です。受信者が興味を持ち、開封したくなるような件名設定が求められます。効果的な件名設定のポイントは以下の通りです。
効果的なメルマガ件名の作成ポイント
簡潔さの重要性
件名は、できるだけ短く、20文字以内で簡潔にまとめましょう。長すぎる件名は、受信者に読む気を失わせてしまう可能性があります。
価値提案の明確化
受信者にとって、そのメルマガを開封することでどのようなメリットがあるのかを、件名で明確に伝えることが重要です。例えば、「【限定10名】〇〇セミナーの無料ご招待」といった具合です。
具体性の追求
提供価値に加えて、より具体的な説明を件名に含めることで、開封率のアップが期待できます。例えば、「【3つの事例で解説】〇〇の最新トレンド」といった感じです。
緊急性の演出
限定期間のキャンペーンや、先着順のイベント案内など、緊急性の高い内容であることを件名で伝えることも効果的です。例えば、「【期間限定】〇〇キャンペーン実施中!」といった具合です。
独自性の表現方法
他社には真似できない、自社ならではの独自性を件名で表現することで、受信者の興味を引くことができます。例えば、「【業界初】〇〇サービスの提供開始!」といった感じです。
開封率アップに役立つその他の施策
件名設定以外にも、メルマガの開封率を向上させるためのさまざまな施策があります。ここでは、そうした施策のいくつかを紹介します。
メルマガ配信の基本設定と効果測定
信頼性を高める差出人設定
メルマガの差出人名は、受信者にとって分かりやすいものにしましょう。会社名や部署名、担当者名などを明記することで、信頼性が増します。
プリヘッダーの戦略的活用法
プリヘッダーとは、件名の下に表示される、メール本文の冒頭部分のことです。このスペースを活用して、件名だけでは伝えきれない情報を補足することで、開封率のアップにつなげることができます。
配信タイミングの最適化
配信するターゲット層や業種によって、最適な配信タイミングは異なります。自社の顧客データを分析し、最も開封率の高い曜日や時間帯を特定することが重要です。
効果測定の指標設定
開封率やクリック率など、メルマガ配信における重要業績評価指標(KPI)を事前に設定しておくことで、施策の効果を適切に測定し、改善につなげることができます。
まとめ
メルマガの開封率とクリック率は、業界ごとに大きな差異があることが明らかになりました。BtoBではコールセンターや娯楽業が50%超の高い開封率を誇る一方、公務や情報サービスは苦戦しています。BtoCでも、団体系や制作・デザイン系が高水準にある反面、広告代理店やマーケティング、士業などは低迷しています。
こうした業界別の特性を理解し、自社のメルマガ施策を最適化することが、開封率とクリック率の向上につながります。件名の工夫や配信タイミングの最適化、PDCAサイクルによる継続的改善など、様々な角度からのアプローチが効果的です。
ここまで紹介した業界別データと具体的な施策を参考に、自社のメルマガ戦略を見直してみてください。正確な測定と分析に基づく効果的な施策の実行が、メルマガマーケティングの成功への鍵となるでしょう。
参考文献
https://www.hai2mail.jp/column/mail-marketing/opening-rate-and-clickthrough-rate-of-email-magazine-by-industry-in-2015-to-2017.php

River編集部
株式会社Riverはデジタルマーケティングの支援を中心とした事業を行う企業であり、小規模・中小企業〜大企業まで多様な企業の支援実績があります。本記事はRiverの支援実績をもとに、マーケティング課題を持つ企業の役に立つことができれば。という想いから執筆しています。マーケティングに関するご相談がございましたら、気軽にお問い合わせください。