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セグメンテーションとは?ターゲティングの前にするべき分類とは

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セグメンテーションとは?ターゲティングの前にするべき分類とは

マーケティング施策の効果と効率を高めるためには、市場を適切に細分化し、ターゲットとなる顧客層を明確にすることが不可欠です。これを実現するために重要な役割を果たすのが、セグメンテーションです。

 

本記事では、セグメンテーションの基本概念や種類、効果的な実施条件について詳しく解説します。

セグメンテーションの基本概念

最初に、セグメンテーションの定義と目的、マーケティング戦略における役割、そしてSTP分析との関係について詳しく解説します。

 

セグメンテーションの定義と目的

セグメンテーションとは、市場を細分化する活動を指します。

 

セグメンテーションの主な目的は、マーケティング施策の効果と効率を向上させることです。市場を均一な集団として扱うのではなく、ニーズや特性に応じて細分化することで、より的確なマーケティング施策を実施できます。

 

マーケティング戦略におけるセグメンテーションの役割

セグメンテーションは、マーケティング戦略の中で重要な役割を果たします。特に、STP分析(Segmentation, Targeting, Positioning)の基盤となる手法です。

 

STP分析では、まず市場をセグメンテーションにより細分化します。次に、自社の強みや商品・サービスの特性を考慮して、最も魅力的なセグメントをターゲットとして選定します(ターゲティング)。最後に、選定したターゲットに対して、自社の商品・サービスがどのような価値を提供できるかを明確にし、競合との差別化を図ります(ポジショニング)。

 

つまり、セグメンテーションは正しいターゲット選定のための基盤であり、ポジショニングのための前提条件となります。

 

STP分析とセグメンテーションの関係

STP分析におけるセグメンテーションの役割をより詳しく見ていきましょう。セグメンテーションは、STP分析の出発点であり、市場を細分化する過程です。この過程で、顧客のニーズや特性に基づいて市場を分類します。

 

セグメンテーションの分類基準には、以下のようなものがあります。

 

  • 地理的変数(国、都市、地域など)
  • 人口動態変数(性別、年齢、家族構成、職業、収入など)
  • 心理的変数(価値観、嗜好性、性格など)
  • 行動変数(購買行動、使用状況、ブランドロイヤルティなど)

 

これらの変数を単独で用いることもありますが、複数の変数を組み合わせることで、より詳細なセグメンテーションが可能になります。例えば、「東京都在住の30代男性で、年収600万円以上、かつ趣味が旅行の人」というセグメントを設定することができます。

 

適切なセグメンテーションを行うことで、限られたリソースを最大限に活用し、マーケティング施策の効果と効率を高めることが可能になるのです。

 

セグメンテーションの種類と分類基準

セグメンテーションには様々な分類基準がありますが、主に地理的変数、人口動態変数、心理的変数、行動変数、そしてこれらの複数変数の組み合わせが用いられます。以下のセクションでは、それぞれの変数について詳しく解説していきます。

 

地理的変数(ジオグラフィック変数)によるセグメンテーション

地理的変数によるセグメンテーションは、国、都市、地域といった地理的な特性に基づいて市場を分類する方法です。例えば、「東京都在住」や「勤務先が愛知県」といった条件で顧客を分類することができます。

 

地理的変数は、地域ごとの嗜好や需要の違いを把握するのに役立ちます。例えば、寒冷地と温暖地では求められる商品やサービスが異なる場合があります。また、都市部と地方では消費者の行動パターンが違うことも考えられます。こうした地域差を考慮することで、より的確なマーケティング施策を立てることができるのです。

 

ただし、地理的変数のみでセグメンテーションを行うのは限界があります。同じ地域に住んでいても、年齢や収入、ライフスタイルは様々ですから、地理的変数と他の変数を組み合わせることで、より精度の高いセグメンテーションが可能となります。

 

人口動態変数(デモグラフィック変数)によるセグメンテーション

人口動態変数によるセグメンテーションは、性別、年齢、家族構成、職業、収入といった人口統計学的な特性に基づいて市場を分類する方法です。例えば、「30代の男性」「20代で子供が1人の夫婦」「年収600万円以上」といった条件で顧客を分類することができます。

 

人口動態変数は、ライフステージや経済状況に応じたニーズの違いを把握するのに役立ちます。例えば、若者と高齢者では関心のある商品やサービスが異なりますし、子育て世帯とシニア世帯では求められる機能も違ってきます。また、収入によって購買力が変わることも考慮する必要があります。

 

人口動態変数は比較的把握しやすく、セグメンテーションの基本的な軸となります。ただし、同じ年齢や収入層でも、価値観やライフスタイルは多様ですから、人口動態変数だけでは顧客のニーズを十分に捉えきれない場合もあります。

 

心理的変数(サイコグラフィック変数)によるセグメンテーション

心理的変数によるセグメンテーションは、価値観、嗜好性、性格といった心理的な特性に基づいて市場を分類する方法です。例えば、「趣味が旅行」「喫煙者」といった条件で顧客を分類することができます。

 

心理的変数は、顧客の深層心理やライフスタイルを理解するのに役立ちます。同じ年齢や収入層でも、価値観が異なれば求める商品やサービスは変わってきます。例えば、環境意識が高い人は、エコ商品を好む傾向があります。また、アウトドア派とインドア派では、休日の過ごし方が違います。こうした心理的特性を理解することで、顧客のニーズにより適したアプローチが可能となります。

 

ただし、心理的変数は把握が難しく、アンケートやインタビューを通じてデータを収集する必要があります。また、心理的特性は時間とともに変化することもあるため、継続的なリサーチが求められます。

 

行動変数(ビヘイビアル変数)によるセグメンテーション

行動変数によるセグメンテーションは、購買行動や使用状況といった行動パターンに基づいて市場を分類する方法です。例えば、「商品Aの購入経験あり」「1か月以内に問い合わせしたユーザー」といった条件で顧客を分類することができます。

 

行動変数は、実際の行動データに基づいているため、顧客のニーズや課題をより正確に把握することができます。例えば、過去の購買履歴を分析することで、顧客の好みや購入サイクルを知ることができます。また、ウェブサイトの閲覧履歴からは、顧客の関心事や検討段階を推測することも可能です。

 

行動変数によるセグメンテーションは、特にCRMやマーケティングオートメーションの分野で活用されています。顧客の行動履歴を蓄積し、それを基にしたセグメンテーションを行うことで、より最適なコミュニケーションを取ることができるからです。ただし、行動データの収集には一定のシステム投資が必要となります。

 

複数変数の組み合わせによるセグメンテーション

実際のマーケティングにおいては、単一の変数だけでセグメンテーションを行うことは稀です。より精度の高いセグメンテーションを行うためには、複数の変数を組み合わせることが効果的だからです。

 

ただし、変数を組み合わせすればするほど、セグメントは細分化されていきます。細分化しすぎると、一つ一つのセグメントの規模が小さくなり、マーケティング施策の効率が下がってしまう恐れがあります。そのため、セグメンテーションの粒度は、自社の事業規模やマーケティング戦略に合わせて適切に設定する必要があります。

 

効果的なセグメンテーションの条件

マーケティング戦略において、セグメンテーションは正しいターゲットを選定するための基盤であり、ポジショニングのための前提条件となります。効果的なセグメンテーションを行うためには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。

 

セグメンテーションの評価基準(4Rの原則)

セグメンテーションを評価する際には、「4Rの原則」と呼ばれる4つの基準を用いることが一般的です。この原則は、セグメンテーションの有効性を判断し、優先順位を付けるために役立ちます。4Rとは、優先度(Rank)、有効性(Realistic)、到達可能性(Reach)、測定可能性(Response)を指します。

 

優先度(Rank)の決定方法

優先度(Rank)は、事業戦略やマーケティング戦略に沿ってセグメントに優先順位を付けることを意味します。例えば、企業の中長期的な成長戦略に合致するセグメントや、短期的な売上目標達成に貢献度が高いセグメントを優先的に選定することが考えられます。

 

優先度を決定する際には、以下のような要因を考慮すると良いでしょう。

 

  • 企業の強みを活かせるセグメントか
  • 競合他社との差別化が可能なセグメントか
  • 市場の成長性が見込めるセグメントか
  • 自社の経営資源(人材、資金、技術など)で対応可能なセグメントか

有効性(Realistic)の判断基準

有効性(Realistic)は、セグメントの市場規模が十分で、売上や利益の見込みがあるかどうかを判断することです。つまり、そのセグメントを対象とすることで、事業として成立するだけの収益性が期待できるかを見極める必要があります。

 

有効性を判断する際には、以下のような定量的なデータを活用すると良いでしょう。

 

  • セグメントの市場規模(販売金額、販売数量など)
  • セグメントの成長率(過去の推移、将来予測など)
  • 想定される売上高や利益率
  • 必要な投資額とROI(投資収益率)

到達可能性(Reach)の確保

到達可能性(Reach)は、製品やサービスをターゲットとなるセグメントに届けられるかどうかを評価することです。

 

到達可能性を高めるためには、以下のような取り組みが有効です。

 

  • セグメントの特性を踏まえた販売チャネルの選定(店舗、オンライン、代理店など)
  • セグメントの媒体接触度が高い広告媒体の活用(テレビ、雑誌、ウェブ広告など)
  • セグメントのニーズに合致した製品・サービスの開発
  • セグメントとのコミュニケーション方法の工夫(イベント、キャンペーン、SNSなど)

測定可能性(Response)の重要性

測定可能性(Response)は、セグメントの市場規模や特徴を測定可能か、マーケティング施策の効果を測定し改善可能かを評価することです。セグメンテーションの有効性を継続的に確認し、必要に応じて修正を加えるためには、適切な指標の設定と定期的なモニタリングが不可欠です。

 

測定可能性を確保するためには、以下のような指標を設定すると良いでしょう。

 

  • セグメントの市場規模(販売金額、販売数量など)
  • セグメントの成長率(過去の推移、将来予測など)
  • マーケティング施策の効果(認知度、購入意欲、売上高など)
  • 顧客満足度やロイヤルティ(リピート率、推奨度など)

これらの指標を定期的に測定・分析し、PDCAサイクルを回すことで、セグメンテーションの精度を高めていくことが可能になります。

 

セグメンテーションの活用方法

ここでは、セグメンテーションの活用方法として、マーケティング戦略の立案、マーケティングオートメーションにおける活用、施策の改善と最適化の3点について詳しく解説します。セグメンテーションを効果的に活用することで、自社のマーケティング活動を大きく向上させることが可能です。

 

セグメンテーションに基づくマーケティング戦略の立案

セグメンテーションは、マーケティング戦略の立案において重要な役割を果たします。

 

マーケティング戦略におけるセグメンテーションの位置づけは、STP分析の一部として知られています。

 

セグメンテーションは、正しいターゲット選定のための基盤であり、ポジショニングを行うための前提条件となります。

 

セグメンテーションを行う際は、4Rの原則に基づいて、各セグメントを評価し、自社のマーケティング戦略に沿ったセグメントを選定する必要があります。

 

マーケティングオートメーションにおけるセグメンテーションの活用

セグメンテーションは、マーケティングオートメーションにおいても重要な役割を果たします。マーケティングオートメーションとは、見込み客(リード)の獲得から育成、顧客化までの一連のプロセスを自動化するためのシステムや手法のことを指します。

 

マーケティングオートメーションにおいては、リードのセグメント化が重要な課題となります。リードの属性や行動データに基づいてセグメントを定義し、各セグメントに適した施策を自動的に実行することで、リードの育成を効率化することができます。

 

例えば、WebサイトでWhitepaperをダウンロードしたリードと、製品デモを申し込んだリードでは、関心の度合いや購買意欲が異なります。これらのリードを適切にセグメント化し、それぞれのセグメントに最適化された情報提供や案内を行うことで、リードの育成を加速させることができるのです。

 

また、セグメンテーションを活用することで、施策のターゲットを明確に定義し、メッセージの最適化を図ることも可能です。例えば、メルカリはシェアリング型のアプローチでヤフオクと差別化されたユーザー心理をターゲットにしています。このように、セグメントの特性に合わせてコミュニケーションを最適化することで、施策の効果を高めることができます。

 

セグメンテーションを用いた施策の改善と最適化

 

セグメントごとに施策の効果を評価し、セグメンテーションの妥当性を検証することで、より効果的なマーケティング施策を設計することができるのです。

 

また、セグメンテーションを用いて施策の最適化を図ることも可能です。セグメントごとに最適な施策を設計し、PDCAサイクルを回すことで、マーケティング施策の効果を継続的に改善することができます。

 

セグメンテーションは、市場の変化や顧客ニーズの変化に合わせて、定期的に見直しを行う必要があります。固定的なセグメンテーションに固執するのではなく、柔軟にセグメンテーションを調整し、マーケティング施策の最適化を図ることが重要です。

 

以上のように、セグメンテーションは、マーケティング戦略の立案、マーケティングオートメーション、施策の改善と最適化において、重要な役割を果たします。

まとめ

本記事では、セグメンテーションの基本概念、種類と分類基準、効果的な実施条件について詳しく解説しました。また、マーケティング戦略立案やマーケティングオートメーションにおける具体的な活用方法にも触れ、読者の実践的なスキルアップに役立つ情報を提供しました。

セグメンテーションを適切に行うことで、自社の強みを活かせる魅力的な市場を特定し、顧客のニーズに合った施策を展開することが可能になります。ぜひ本記事を参考に、自社のマーケティング活動におけるセグメンテーションの活用方法を見直してみてください。

この記事を書いた人

River編集部

株式会社Riverはデジタルマーケティングの支援を中心とした事業を行う企業であり、小規模・中小企業〜大企業まで多様な企業の支援実績があります。本記事はRiverの支援実績をもとに、マーケティング課題を持つ企業の役に立つことができれば。という想いから執筆しています。マーケティングに関するご相談がございましたら、気軽にお問い合わせください。

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