お友達紹介キャンペーンとは?やり方や事例、注意点を解説

最終更新日:

お友達紹介キャンペーンとは?やり方や事例、注意点を解説

新規顧客獲得に頭を悩ませている企業は多いですが、お友達紹介キャンペーンはその悩みを解決する効果的な手法です。信頼できる人からの紹介による購入ハードルの低下、集客コストの抑制、広告が届きにくい層へのアプローチなど、多くのメリットがあります。

 

本記事では、お友達紹介キャンペーンの基本概念から、効果を最大化するための実施方法、さらには注意点まで詳しく解説します。十字軍結成型アプローチによる紹介の促進や、初期顧客へのフォーカスとコミュニティ形成など、成功事例から学ぶ戦略も紹介します

 

お友達紹介キャンペーンの基本概念

お友達紹介キャンペーンは、マーケティングや営業活動において非常に効果的な手法の一つです。ここでは、お友達紹介キャンペーンの基本的な概念について解説していきます。

 

お友達紹介キャンペーンの定義

お友達紹介キャンペーンとは、既存の顧客や利用者に対して、友人や知人を紹介してもらうことを促すマーケティング手法のことを指します。紹介者と被紹介者の双方に特典や報酬を提供することで、自然な形で新規顧客を獲得することができます。

 

お友達紹介キャンペーンの特徴と仕組み

お友達紹介キャンペーンの最大の特徴は、紹介者と被紹介者の両方にメリットがある点です。例えば、紹介者には商品割引やポイント付与などの特典を提供し、被紹介者には初回利用時の割引やプレゼントを用意するのが一般的です。この双方向の特典により、紹介が促進されます。

 

お友達紹介キャンペーンが効果を発揮する理由

続いて、お友達紹介キャンペーンが高い効果を発揮する3つの主な理由について詳しく解説します。

 

信頼できる人からの紹介による購入ハードルの低下

お友達紹介キャンペーンが効果的である最大の理由は、信頼できる人からの紹介が購入ハードルを大きく下げることにあります。グリー株式会社が行った調査によると、商品やサービスの選択において、友人・知人・家族からの推奨が30%を占めており、広告や専門家のアドバイスを大きく上回っています。

 

この結果は、人々が購買決定をする際に、身近な人からの意見を重視する傾向が強いことを示しています。お友達紹介キャンペーンでは、顧客が自身の社会的ネットワークを活用して、商品やサービスの魅力を友人や知人に直接伝えます。この「口コミ」による情報は、企業からの一方的な広告よりも説得力があり、潜在顧客の購入意欲を高めることができるのです。

 

さらに、紹介者との信頼関係が、被紹介者の不安を軽減する効果もあります。初めて利用する商品やサービスには、品質への不安や手続きの煩雑さなどの障壁がつきものですが、友人や知人からの紹介があれば、これらの不安が和らぎ、スムーズに購買行動につながりやすくなります。お友達紹介キャンペーンは、信頼できる人を介することで、潜在顧客の心理的ハードルを効果的に下げることができます。

 

集客コストの抑制

お友達紹介キャンペーンのもう一つの大きな利点は、新規顧客の獲得にかかるコストを大幅に抑えられることです。通常、企業が新規顧客を獲得するためには、広告費用や営業活動にかかる人件費など、多くのコストが発生します。しかし、お友達紹介キャンペーンでは、既存顧客を「セールスパートナー」として活用することで、これらのコストを最小限に抑えることができます。

 

具体的には、紹介者と被紹介者の両方に特典を提供するという仕組みが、顧客の紹介行動を強力に動機づけます。例えば、紹介者には商品の割引やキャッシュバック、被紹介者には初回利用の特典などを用意することで、顧客が自発的に友人や知人に商品やサービスを推奨するようになります。この「アンバサダー」としての役割を顧客に担ってもらうことで、企業は最小限のコストで新規顧客を獲得できるのです。

 

また、お友達紹介キャンペーンで獲得した顧客は、紹介者との関係性から、通常の新規顧客よりも高い継続率と生涯価値(LTV)が期待できます。これは、紹介者との共通点が多いことや、紹介者の利用体験が好印象だった場合、被紹介者も同様に商品やサービスに満足し、長期的な利用につながりやすいためです。お友達紹介キャンペーンは、一度の獲得コストで、より価値の高い顧客を獲得できる可能性が高いです。

 

広告が届きにくい層へのアプローチ

お友達紹介キャンペーンの三つ目の利点は、通常の広告では届きにくい層にアプローチできることです。近年、インターネット広告の普及により、多くの企業が潜在顧客にリーチできるようになりました。しかし、広告に懐疑的な層や、そもそも広告に接触しない層など、広告だけでは獲得が難しい顧客層が存在するのも事実です。

 

お友達紹介キャンペーンは、このような広告では届きにくい層に効果的にアプローチできる手法だといえます。例えば、プライバシーに敏感な人や、商品やサービスの選択に慎重な人は、企業からの一方的な広告には懐疑的ですが、信頼できる友人や知人からの紹介であれば、興味を持つ可能性が高くなります。

 

また、特定のコミュニティや趣味のつながりが強い人々は、同じ関心を持つ仲間内での情報共有が活発です。こうしたコミュニティ内で商品やサービスが話題になると、メンバー間で急速に広がる「バイラル効果」が期待できます。お友達紹介キャンペーンは、顧客の社会的ネットワークを介して、広告だけでは届きにくい層にもリーチできる強力な手法なのです。

 

さらに、お友達紹介キャンペーンは、顧客の紹介行動を通じて、企業や商品・サービスの「ファン」を増やす効果もあります。紹介者は、友人や知人に商品やサービスを推奨する過程で、自身のポジティブな体験を思い出し、再認識します。これにより、紹介者自身のロイヤルティがさらに高まり、継続的な利用や追加購入にもつながります。お友達紹介キャンペーンは、広告では築きにくい強固な顧客基盤を構築する上でも効果的と言えます。

 

お友達紹介キャンペーンを成功させるための実施方法

お友達紹介キャンペーンを成功させるためには、適切な実施方法が不可欠です。ここでは、十字軍結成型アプローチによる紹介の促進、魅力的な特典設計と複数媒体での告知、初期顧客へのフォーカスとコミュニティ形成という3つの戦略に焦点を当てて解説します。

 

十字軍結成型アプローチによる紹介の促進

お友達紹介キャンペーンを成功に導くためには、十字軍結成型アプローチが効果的です。これは、顧客に問題解決型の訴求を行い、利他的な動機付けを与えることで、自発的な紹介行動を促すアプローチです。

 

具体的には、自社の製品やサービスが顧客の抱える課題をどのように解決できるのかを明確に伝えることが重要です。例えば、「あなたの友人も同じ悩みを抱えているかもしれません。この製品で解決できることを伝えてあげてください」といったメッセージを発信することで、顧客の利他的な動機を刺激し、紹介行動を促すことができるでしょう。

 

また、企業のミッションや価値観を明確に示すことも、十字軍結成型アプローチには欠かせません。「より多くの人に便利で快適な生活を提供したい」といった企業の想いを伝えることで、顧客との価値観の共有を図り、紹介への協力を得やすくなります。

 

実際に、この手法を用いて成功したのが、クラウド会計ソフトの「freee」です。freeeは、「経理の仕事を楽しく」という明確なミッションを掲げ、顧客に「freeeで経理業務の効率化を実現した喜びを友人にも知ってもらおう」と思わせることに成功しました。その結果、初年度で1万社以上の導入を達成する快挙を成し遂げたのです。

 

魅力的な特典設計と複数媒体での告知

お友達紹介キャンペーンでは、紹介者と被紹介者双方に魅力的な特典を用意することが成功の鍵を握ります。単に割引やキャッシュバックを提供するだけでなく、顧客にとって価値のある体験や限定アイテムなどをプレゼントすることで、紹介へのモチベーションを高めることができます。

 

例えば、音楽ストリーミングサービスの「Spotify」は、友人を招待すると招待者と被招待者の両方に1ヶ月の無料プレミアムプランを提供するキャンペーンを実施しました。通常料金9.99ドルのプレミアム機能を無料で体験できる魅力的な特典が、多くのユーザーの紹介行動を促した好事例と言えるでしょう。

 

また、特典内容の決定とともに重要なのが、キャンペーンの効果的な告知です。自社サイトやアプリ内での告知はもちろん、メールマガジンやSNS、広告などの複数媒体を活用し、キャンペーンの認知度を高めることが求められます。

 

クラウドストレージサービスの「Dropbox」は、ランディングページを作成し、わかりやすいインフォグラフィックスでキャンペーン内容を説明しました。さらに、ユーザーの目に留まりやすいアプリ内での告知バナー設置や、メールマガジンでのキャンペーン紹介など、複数チャネルでの露出を図ることで、紹介数の増加に成功しています。

 

初期顧客へのフォーカスとコミュニティ形成

お友達紹介キャンペーンでは、初期の顧客をターゲットに設定し、濃密なコミュニケーションを図ることが肝要です。製品やサービスへの理解が深く、愛着を持つ初期顧客ほど、積極的に友人を紹介してくれる傾向にあるからです。

 

米国の眼鏡ブランド「Warby Parker」は、ローンチ直後の1年間、初期顧客との丁寧なコミュニケーションに注力しました。製品の感想を求めたり、アフターフォローを欠かさなかったりすることで、顧客との強い信頼関係を築いたのです。その結果、初期顧客による活発な紹介が行われ、ローンチ1年目で顧客の50%以上がお友達紹介経由で獲得されるに至りました。

 

さらに、ユーザー同士のコミュニティを形成することで、紹介をより活性化させることも可能です。オンラインでのユーザーコミュニティを運営し、製品の使い方や活用事例を共有してもらうことで、ユーザー間の交流を促進できます。

 

プロジェクト管理ツールの「Asana」は、ユーザーコミュニティ「Asana Community」を立ち上げ、ユーザー同士の情報交換を支援しています。ユーザー主催のオンラインイベントや、活用事例の共有などを通じて、ユーザー同士の結びつきを強めることに成功。その結果、コミュニティ内での活発な紹介が行われ、新規ユーザーの獲得に大きく貢献しています。

 

お友達紹介キャンペーン実施時の注意点

お友達紹介キャンペーンは有効なマーケティング手法として近年注目を集めていますが、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。ここでは、景品表示法への配慮、賄賂提供型キャンペーンの回避、自然な紹介を促すタイミングの選択について解説します。

 

景品表示法への配慮と景品規制の確認

お友達紹介キャンペーンは基本的に適法ですが、景品表示法に抵触しないよう注意が必要です。特に、景品規制については事前に確認しておくことが重要でしょう。取引価額が1,000円未満の場合は200円まで、1,000円以上の場合は価額の20%までが景品の限度額とされています。

 

例えば、5,000円の商品を購入した顧客に対して、1,000円分のクーポンを進呈するキャンペーンは適法です。一方、同じ商品に対して2,000円分のクーポンを進呈すると、景品規制に抵触する可能性があります。キャンペーンの設計段階で、景品の金額が適正な範囲内に収まっているか確認することが肝要です。

 

賄賂提供型キャンペーンの回避

お友達紹介キャンペーンを実施する際、賄賂提供型のアプローチは避けるべきです。過度に高額な報酬を提示すると、紹介の動機が金銭的利益に偏ってしまい、本来の目的である信頼に基づく紹介から逸脱してしまう恐れがあります。

 

また、過剰な報酬は、紹介を受ける側にとっても不自然さを感じさせ、かえって購入意欲を減退させる可能性があります。紹介者と被紹介者双方にとって魅力的で、かつ適度な特典設計が求められます。例えば、紹介者には自社サービスの利用クーポンを、被紹介者には初回割引などを提供するのが一般的でしょう。

 

自然な紹介を促すタイミングの選択

お友達紹介キャンペーンが効果を発揮するには、顧客が自然に紹介したくなるタイミングを見計らうことが大切です。サービスの利用開始直後や、満足度が高まったタイミングなどが適しているでしょう。

 

例えば、SaaSサービスの場合、ユーザーがサービスの価値を実感し、習熟し始めた頃に紹介を促すのが効果的です。このタイミングでは、ユーザーは自発的にサービスの魅力を友人に伝えたいと感じる傾向にあります。ユーザーの心理的な変化を捉え、適切なタイミングで紹介を促すアプローチが求められるでしょう。

 

また、紹介の依頼方法も工夫が必要です。一方的に紹介を要求するのではなく、ユーザーの意思を尊重しつつ、紹介のメリットを丁寧に説明することが大切です。ユーザーが紹介することで、自身の社会的価値が高まることを実感できるようなアプローチが理想的です。

 

まとめ

お友達紹介キャンペーンは、信頼できる人からの紹介による購入ハードルの低下、集客コストの抑制、広告が届きにくい層へのアプローチなど、多くのメリットを持つ効果的なマーケティング手法です。十字軍結成型アプローチによる紹介の促進や、魅力的な特典設計と複数媒体での告知、初期顧客へのフォーカスとコミュニティ形成など、成功事例から学ぶ戦略も数多くあります。

 

一方で、景品表示法への配慮や、賄賂提供型キャンペーンの回避、自然な紹介を促すタイミングの選択など、注意点も知っておく必要があります。本記事では、お友達紹介キャンペーンの基本概念から実践的な実施方法、さらには失敗を避けるためのポイントまで網羅的に解説しました。

参考文献

https://www.tsuhan-marketing.com/blog/marketing/referafriend_campaign

この記事を書いた人

River編集部

株式会社Riverはデジタルマーケティングの支援を中心とした事業を行う企業であり、小規模・中小企業〜大企業まで多様な企業の支援実績があります。本記事はRiverの支援実績をもとに、マーケティング課題を持つ企業の役に立つことができれば。という想いから執筆しています。マーケティングに関するご相談がございましたら、気軽にお問い合わせください。

ABOUT ME

このページをシェアする

line twitter facebook