デジタル広告費用における「ネット」と「グロス」って何?
最終更新日:

デジタル広告の費用を議論する際、「ネット」と「グロス」という2つの重要な概念が登場します。これらの用語は広告業界で頻繁に使われますが、その意味を正しく理解していないと、予算管理に大きな影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、ネットとグロスの定義と違いを説明し、広告代理店のマージンについても詳しく解説します。また、ネット・グロス・マージンの計算方法を具体例で示し、広告予算設定における注意点を提示します。
さらに、広告主と広告代理店とのコミュニケーションを円滑にするためのポイントもお伝えします。本記事を読めば、デジタル広告のコスト管理について理解が深まり、予算の最適化と広告効果の最大化に役立つはずです。
ネットとグロスの定義と違い
デジタル広告の費用を議論する際、「ネット」と「グロス」という2つの重要な概念が登場します。これらの用語は、広告費用の異なる側面を表しており、それぞれの意味と使い方を理解することが重要です。
ここでは、ネットとグロスの定義を明確にし、それぞれの広告業界での使われ方を解説します。また、ネットとグロスの関係性についても掘り下げ、広告予算を管理する上で知っておくべきポイントを提示します。
ネットの意味と広告での使われ方
ネット(Net)とは、インターネット広告における実際の広告費用を指す用語です。これは、広告を配信するためにかかった純粋な費用のことを意味します。英語での「net」は「正味財産、純財産、純資産」を表しますが、広告業界では「純粋な広告費用」という意味で使用されます。
広告代理店が通常「広告費用」として指すのは、このネットの金額です。ただし、インターネットを簡略化した「ネット」とは異なる点に注意が必要です。ネットは、広告配信に直接かかった費用のみを表す用語なのです。
グロスの意味と広告での使われ方
一方、グロス(Gross)は、広告を出稿する時にかかるトータルの費用を指す用語です。これは、広告代理店から請求される総額のことを意味します。英語での「gross」は「総額、総計」を表します。
広告業界では、グロスはネットの金額に広告代理店の手数料(マージン)を加えた金額として使用されます。つまり、代理店からの請求書に記載される金額がグロスなのです。マージン(Margin)は広告代理店の手数料を指し、広告の運用代行を行う際の報酬として設定されます。
マージンは、実際の広告費用に対して手数料率をかけて計算されます。例えば、「運用代行手数料●●%」という形で表示されるのが一般的です。広告代理店によって手数料率は異なりますが、20%前後に設定されているケースが多いようです。
ネット、グロス、マージンの計算方法
デジタル広告の費用を理解する上で、「ネット」「グロス」「マージン」という3つの概念を正しく把握することが重要です。ここでは、これらの計算方法について詳しく解説していきます。
まず、ネットとは、純粋な広告費用のことを指します。これは、広告を配信するためにかかった実際の費用を表しています。一方、グロスは、ネットの金額に広告代理店の手数料(マージン)を加えた総額を指します。つまり、広告主が代理店から受け取る請求書に記載される金額がグロスになります。
マージンは、広告代理店が広告運用代行を行う際にかかる手数料のことです。これは、ネットの広告費用に対して一定の手数料率をかけて計算されます。手数料率は代理店によって異なりますが、一般的には「運用代行手数料●●%」という形で表示されます。
実際の計算例
では、実際の計算例を見ていきましょう。広告代理店Aから届いた請求書には、手数料率が20%、請求金額が120万円(税抜)と記載されていたとします。この場合、グロス金額とネット金額、マージン金額はそれぞれいくらになるでしょうか。
計算のポイントは、グロス金額=ネット金額+(ネット金額×手数料率)という関係性を理解することです。この式に従って計算していきます。
グロス金額120万円=ネット金額+(ネット金額×20%)
120万円=ネット金額×1.2
ネット金額=120万円÷1.2=100万円
したがって、ネット金額は100万円、マージン金額は20万円(ネット金額の20%)となります。これらを合計すると、グロス金額の120万円になります。
計算結果の解釈と注意点
上記の計算結果から、広告費用の内訳を正確に把握することができます。グロス金額からマージン金額を差し引くことで、純粋な広告費用であるネット金額を算出できるのです。これにより、広告予算の管理や、広告効果の分析がより正確にできるようになります。
ただし、注意点もあります。一部の広告代理店では、最低手数料が設定されている場合があります。この場合、ネット金額が少額であっても、最低手数料分のマージンが発生することになります。そのため、手数料やグロス金額が変動する可能性があることを認識しておく必要があります。
また、広告予算を設定する際には、ネットとグロスのどちらを基準にするのかを広告代理店とすり合わせておくことが重要です。認識のズレによって、予算超過などのトラブルが発生するリスクがあるためです。
例えば、Google広告の月間広告費を100万円で発注したとします。もし広告代理店がネットで100万円と認識していた場合、20%のマージンを加えたグロス金額は120万円になります。広告主側がグロスで100万円を想定していた場合、予算オーバーが発生してしまうのです。
このようなトラブルを防ぐためにも、広告代理店とは「ネット」や「グロス」といった業界用語ではなく、「配信金額」「手数料を含めた請求金額」など、明確で誤解のない表現を用いてコミュニケーションを取ることが推奨されます。
ネット、グロス、マージンの計算方法を正しく理解し、広告代理店とのコミュニケーションを円滑に行うことで、デジタル広告の費用管理をより効果的に行うことができるでしょう。広告予算の最適化と広告効果の最大化を目指す上で、これらの知識は非常に重要なのです。
広告予算設定におけるネットとグロスの重要性
広告主がデジタル広告を出稿する際、予算の上限をネットとグロスのどちらで設定するかを明確にすることはとても重要です。広告代理店との認識の違いにより、予期せぬ予算超過が発生する可能性があるためです。
広告予算確認の必要性と事例
広告主が広告代理店に広告予算を伝える際、ネットとグロスの区別を明確にすることが重要です。例えば、広告主がGoogle広告の月間予算を100万円で発注したとします。広告主はグロスで100万円を想定していたにもかかわらず、広告代理店がネットで100万円と認識した場合、マージンを含めた実際の請求金額は120万円になります。この場合、広告主の予算を超過してしまう可能性があります。
このような事態を避けるため、広告主は広告代理店とのコミュニケーションにおいて、予算の上限がネットなのかグロスなのかを明確に伝える必要があります。また、広告代理店の手数料率を事前に確認し、総予算を計算しておくことが賢明です。
広告代理店とのコミュニケーション
広告代理店との円滑なコミュニケーションは、予算管理において非常に重要です。広告主は、広告代理店に対して予算の上限を明確に伝えると同時に、手数料率についても確認しておく必要があります。多くの広告代理店では、広告費用に対して一定の手数料率を設定しています。この手数料率は、「運用代行手数料●●%」という形で表示されることが一般的です。
手数料の計算方法を理解することも重要です。マージン金額は、実際の広告費用(ネット)に手数料率を掛けて計算されます。例えば、ネット金額が100万円で、手数料率が20%の場合、マージン金額は20万円となり、広告代理店から請求されるグロス金額は120万円になります。
また、一部の広告代理店では最低手数料が設定されている場合があります。この最低手数料によって、実際の手数料やグロス金額が変動する可能性があるため、広告主はこの点についても広告代理店に確認しておくことが賢明です。
予算設定時の表現の工夫
広告代理店とのコミュニケーションにおいて、「ネット」や「グロス」という業界用語を使用すると、混乱を招く可能性があります。そのため、広告代理店側は、これらの用語の代わりに、 「配信金額」や「手数料を含めた請求金額」といった表現を使用することが推奨されます。
例えば、広告代理店が広告主に対して「配信金額は100万円、手数料率は20%です」と伝えることで、ネット金額とマージン率を明確に示すことができます。これにより、広告主は総予算(グロス金額)が120万円になることを容易に理解できます。
このように、広告代理店が業界用語を避け、分かりやすい表現を使用することで、広告主との認識の違いを防ぎ、円滑なコミュニケーションを実現することができるのです。
まとめ
デジタル広告の費用管理において、「ネット」と「グロス」の概念を正しく理解することが非常に重要です。ネットは純粋な広告費用を、グロスはネットにマージン(広告代理店の手数料)を加えた総額を指します。
広告主は、広告代理店とのコミュニケーションの中で、予算の上限がネットなのかグロスなのかを明確にし、手数料率も事前に確認しておく必要があります。これにより、予算超過などのトラブルを未然に防ぐことができます。

River編集部
株式会社Riverはデジタルマーケティングの支援を中心とした事業を行う企業であり、小規模・中小企業〜大企業まで多様な企業の支援実績があります。本記事はRiverの支援実績をもとに、マーケティング課題を持つ企業の役に立つことができれば。という想いから執筆しています。マーケティングに関するご相談がございましたら、気軽にお問い合わせください。