デジタル広告の種類と使い分け
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デジタル広告の種類は大きく分けると、純広告と運用型広告の2つに分類できます。純広告は、テレビCMのように広告枠を買い取って配信するタイプの広告で、運用型広告は、リアルタイムに配信内容や予算の調整ができる広告です。
それぞれの特徴を理解し、広告目的に合わせて使い分けることが重要です。また、ターゲット層に合わせて、低関心層から既存顧客層まで、各フェーズに適した広告手法を選択することで、効果的なアプローチが可能になります。
デジタル広告の種類と特性を踏まえ、自社に合った戦略的な活用方法を検討していきましょう。
純広告と運用型広告
純広告とは
純広告とは、テレビCMや新聞広告のようなマス広告と同じように、広告枠を買い取って配信する方式の広告です。
広告主が広告媒体に直接広告枠を購入し、その枠内で広告を配信します。多くの場合、広告の掲載期間やインプレッション数(広告の表示回数)が保証されています。
純広告の特徴は以下の通りです。
- 広告枠を買い取るため、広告の掲載期間やインプレッション数が保証される
- テレビCMのように、大規模なリーチを獲得できる
- ブランド認知度の向上に効果的
- 運用型広告と比べて、広告単価が高い傾向にある
運用型広告とは
運用型広告とは、広告主が自ら広告の配信内容や掲載場所、入札金額などを調整しながら運用していく広告です。広告主が広告プラットフォームを通じて広告を配信し、リアルタイムに広告の最適化を行うことができます。
運用型広告の特徴は以下の通りです。
- 広告主が自ら広告の運用を行うため、柔軟な広告配信が可能
- リアルタイムに広告の最適化ができ、費用対効果を高められる
- 純広告と比べて広告単価が安い傾向にある
- ターゲティングが細かく設定でき、適切なユーザーにアプローチできる
純広告と運用型広告の違い
純広告と運用型広告の主な違いは、広告の運用方法と費用対効果の高さです。
純広告は広告枠を買い取る方式のため、大規模なリーチを獲得できますが、広告単価が高くなる傾向にあります。
一方、運用型広告は広告主自らが広告を運用するため、費用対効果を高めやすいですが、広告の最適化には一定の知識と労力が必要になります。
純広告 | 運用型広告 | |
---|---|---|
運用方法 | 広告枠を買い取る | 広告主自らが運用する |
広告単価 | 高い傾向にある | 安い傾向にある |
リーチ | 大規模なリーチを獲得できる | ターゲティングを細かく設定できる |
向いている目的 | ブランド認知度の向上 | 費用対効果の高い広告配信 |
主要な純広告の種類
純広告には以下のような種類があります。
- Yahoo!広告のディスプレイ広告(予約型)
- Xのトレンドテイクオーバー
- YouTube広告の一部(マストヘッド広告など)
- 純広告型のアドネットワーク広告
主要な運用型広告の種類
運用型広告には以下のような種類があります。
- リスティング広告(検索連動型広告)
- ディスプレイ広告(アドネットワーク広告、DSP広告など)
- リターゲティング広告
- SNS広告(Facebook広告、Instagram広告、Twitter広告など)
- 動画広告(YouTube広告、動画リワード広告など)
- アフィリエイト広告
デジタル広告の目的別活用方法
デジタル広告は、ターゲットの購買ステージに合わせて使い分けることで、効果的なマーケティング施策を展開できます。まだ商品やサービスに関心を持っていない潜在顧客から既存顧客まで、それぞれの層に適したデジタル広告の活用方法を解説します。
低関心層向けのデジタル広告活用
低関心層とは、商品やサービスに関心がない層のことを指します。この層に向けては、まず認知拡大を目的としたデジタル広告を活用します。
具体的には、以下のような広告が有効です。
- 動画広告:YouTube、TikTokなどの動画プラットフォームに動画広告を配信し、商品やサービスの存在を知ってもらう。
- 純広告:既存の4大メディア(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)と同様に、広告枠を買い取って配信する広告。インプレッションを保証するもの、期間保証型などがある。
これらの広告を通じて、低関心層に商品やサービスの魅力を訴求し、興味を持ってもらうことが重要です。
潜在層向けのデジタル広告活用
潜在層とは、商品やサービスに興味はあるものの、まだ購買には至っていない層のことを指します。この層に向けては、興味関心を高め、購買意欲を喚起するためのデジタル広告を活用します。
具体的には、以下のような広告が有効です。
- ディスプレイ広告:ブログやサイト内にバナー広告を出稿し、商品やサービスの魅力を訴求する。
- SNS広告:Facebook広告、Instagram広告、X広告、LINE広告など、SNSを活用した広告を配信し、ターゲットの興味関心に合わせた訴求を行う。
- DSP:広告在庫の買い付けから配信、オーディエンスターゲティングを一括管理できる広告配信プラットフォーム。
- アフィリエイト広告:成果報酬型の広告で、商品やサービスの購入につながった場合に報酬が発生する。
潜在層に向けては、商品やサービスの特徴や利点を詳しく説明し、購買意欲を高めることが重要です。
顕在層向けのデジタル広告活用
顕在層とは、商品やサービスの購入を検討している層のことを指します。この層に向けては、購買意欲を後押しするためのデジタル広告を活用します。
具体的には、以下のような広告が有効です。
- リスティング広告:検索エンジンでキーワードを検索した際の検索結果に表示される広告。ユーザーの検索意図に合わせた広告を配信できる。
- リターゲティング広告:過去にサイトに来訪したユーザーに対して、再度広告を配信する手法。購買意欲の高いユーザーに効果的にアプローチできる。
顕在層に向けては、商品やサービスの購入を後押しするような訴求を行い、コンバージョンにつなげることが重要です。
既存顧客層向けのデジタル広告活用
既存顧客層とは、既に商品やサービスを購入したことがある層のことを指します。この層に向けては、リピート購買や追加購買を促すためのデジタル広告を活用します。
具体的には、以下のような広告が有効です。
- リターゲティング広告:一度サイトを訪問しコンバージョンに至ったユーザーに対して、再度広告を配信する手法。リピート購買や追加購買を促すことができる。
- メール広告:顧客から取得したメールアドレスに対して、商品やサービスの案内を送付する広告。顧客とのコミュニケーションを維持し、購買を促すことができる。
- アドレサブル広告:自社顧客のメールアドレスと広告媒体のメールアドレスをマッチングさせて配信する広告。顧客データを活用した効果的なアプローチが可能。
既存顧客に向けては、満足度を高め、ロイヤルカスタマー化を図ることが重要です。
デジタル広告は、ターゲットの購買ステージに合わせて適切に活用する必要があります。
各広告の特徴を理解し、目的に合わせて使い分けることで、効果的なマーケティング施策を展開することができます。
デジタル広告の選定ポイント
デジタル広告を選ぶ際は、目的に応じた適切な広告手法の選択が重要です。以下の5つのポイントを押さえて、効果的なデジタル広告の運用を行いましょう。
広告目的とKPIの設定
まずは広告を出稿する目的を明確にし、達成したい目標を定めます。ブランド認知向上なのか、サイト誘導なのか、あるいは販売促進なのか。目的に応じて、インプレッション数、クリック数、コンバージョン数などの適切なKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。
ターゲット層の特定とペルソナ設計
広告を届けたい対象者像を明確にします。年齢、性別、地域、興味関心などの属性情報に加え、購買行動や課題などを整理してペルソナを設計。ターゲットに合わせたメッセージや訴求内容を検討します。
予算規模と運用リソースの確認
投入可能な広告予算と運用に割けるリソースを確認します。予算に応じて広告手法や出稿量を調整。運用型広告なら日々のモニタリングや改善作業が必要なため、十分な工数を確保しましょう。
広告手法の特性理解と組み合わせ
各広告手法の特性を理解し、目的に合った手法を選択します。単一の手法だけでなく、複数手法を組み合わせるのも有効。例えば、リスティング広告とディスプレイ広告で潜在顧客を獲得し、リターゲティング広告で購買を促すなど、ユーザーの状況に合わせた出し分けを検討しましょう。
広告効果の計測と最適化
広告の効果検証を欠かさず行い、PDCAサイクルを回して最適化につなげることが大切です。広告管理ツールやアクセス解析ツールを活用し、クリック率や費用対効果、獲得顧客の質などを多角的に評価。改善施策を積極的に打ち出し、ROIの高い運用を目指しましょう。
以上の5つのポイントを意識しながら、自社の課題やリソースに合ったデジタル広告の選定・運用を行うことが、広告施策を成功に導くカギとなります。
デジタル広告の運用ノウハウ
デジタル広告を効果的に運用するためには、様々な観点からの最適化が求められます。ここでは、デジタル広告の運用ノウハウとして重要な6つのポイントを解説します。
配信設定の最適化
デジタル広告の配信設定を最適化することで、適切なターゲットユーザーに効率的に広告を届けることができます。広告プラットフォームごとに、ターゲティング条件や予算、入札単価などを細かく設定し、継続的に改善していくことが重要です。
例えば、FacebookやInstagramなどのSNS広告では、年齢や性別、興味関心などを元にオーディエンスを絞り込むことができます。また、Googleのディスプレイ広告では、配信先のウェブサイトやアプリを選択することで、ターゲットユーザーにリーチしやすくなります。
クリエイティブの工夫
広告クリエイティブは、ユーザーの目に留まり、行動を促すために重要な要素です。広告の目的や配信先に合わせて、訴求力のある画像や動画、キャッチコピーを制作する必要があります。
バナー広告などのディスプレイ広告では、ブランドロゴや商品画像を大きく表示し、一目で内容が伝わるようなデザインが効果的です。また、動画広告では、短時間で商品の魅力や使用シーンを訴求するストーリー性のある内容が求められます。
ランディングページの最適化
広告をクリックしたユーザーを適切なランディングページに誘導し、コンバージョンにつなげることが重要です。ランディングページは、広告の内容と整合性があり、ユーザーが求める情報を簡単に見つけられるような設計が求められます。
例えば、商品購入を目的とした広告の場合、ランディングページには商品の詳細情報や価格、購入ボタンなどを明確に表示します。また、問い合わせフォームや電話番号なども分かりやすく配置し、ユーザーの行動を促します。
広告配信のスケジューリング
広告の配信時間や頻度を最適化することで、より効果的な広告運用が可能になります。ターゲットユーザーの行動パターンを分析し、アクティブな時間帯により多くの予算を配分するなどの工夫が必要です。
例えば、BtoBの広告であれば平日の昼間に配信頻度を上げ、BtoCの広告では休日や夕方以降の時間帯に予算を集中させるなどの施策が考えられます。また、季節やイベントに合わせて配信スケジュールを調整することも効果的です。
運用型広告のオークション仕組み理解
運用型広告は、オークション形式で広告枠が売買されています。そのため、入札価格の設定や予算管理が非常に重要になります。各広告プラットフォームのオークションの仕組みを理解し、適切な入札戦略を立てることが求められます。
リスティング広告などの運用型広告では、入札単価だけでなく、広告のクリック率や品質スコアなども考慮されます。より効果の高い広告を制作し、適切な入札単価を設定することで、高い広告掲載位置を獲得しやすくなります。
リターゲティングの活用
リターゲティング広告は、自社のウェブサイトを訪問したことのあるユーザーに対して、再度広告を配信する手法です。過去の行動履歴を元にターゲティングできるため、高い広告効果が期待できます。
商品購入に至らなかったユーザーや、カートに商品を残したままのユーザーなどに対して、リターゲティング広告を配信することで、コンバージョン率の向上につながります。
また、一度購入したユーザーに対しては、関連商品や追加購入を促す広告を配信するなどの活用方法もあります。
まとめ
以上のように、デジタル広告の運用では、配信設定やクリエイティブ、ランディングページなど、様々な要素の最適化が重要です。また、運用型広告特有のオークションの仕組みを理解し、リターゲティングを活用することで、より効果的な広告配信が可能になります。デジタル広告の種類や目的に合わせて、これらの

River編集部
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