人材業界のWEB広告のCPAはどれくらい?総合型、特化型等の参考例をご紹介。
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人材業界のWEB広告運用で、効果的に採用コストを最適化するためには、CPAの把握と管理が欠かせません。しかし、様々な媒体や業態によってCPAは大きく異なるため、自社に合った運用方法を見つけるのは容易ではありません。
本記事では、人材業界のCPAの基本的な概念から、総合型・特化型求人サイトにおける実際のCPA事例、そしてCPA改善のためのポイントまで、幅広く解説します。キーワードの選定、年齢層に合わせたアプローチ、動的検索広告の活用など、効果的な運用テクニックを詳しく紹介します。
人材採用に関わる方なら、必見の内容となっています。記事を通じて、自社のWEB広告運用を見直すヒントを得られるはずです。是非最後までお読みいただき、採用コストの最適化と優秀な人材の獲得に役立てていただければと思います。
人材業界におけるWEB広告のCPA
人材業界では、効果的な採用活動のためにWEB広告を積極的に活用しています。その中でも、費用対効果を測る重要な指標の一つがCPA(Cost Per Acquisition)です。
ここでは、CPAの基本的な概念から、人材業界におけるCPAの重要性、そしてCPAに影響を与える様々な要因について詳しく解説していきます。また、総合型や特化型の求人サイトにおける実際のCPA事例も紹介し、効果的なWEB広告運用のポイントについても触れていきます。
CPAとは何か
CPA(Cost Per Acquisition)とは、WEB広告において、1件の獲得(コンバージョン)にかかる費用のことを指します。例えば、求人広告の場合、応募者1人を獲得するのにかかる広告費用がCPAになります。
CPAは、以下の計算式で求められます。
CPA = 広告費 ÷ コンバージョン数
つまり、広告費を獲得したコンバージョン数で割ることで、1件のコンバージョンにかかる費用が算出できるのです。CPAは、広告の効果を測定する上で非常に重要な指標であり、広告運用の最適化に役立ちます。
人材業界のCPAの重要性
人材業界では、求人広告の効果を測定し、採用コストを最適化することが非常に重要です。CPAを把握することで、どの広告媒体やキーワードが最も費用対効果が高いのかを判断することができます。
また、CPAを基準にして広告予算を配分することで、限られた予算内で最大の効果を得ることができます。さらに、CPAの推移を追跡することで、広告運用の改善点を見つけ出し、継続的な最適化を行うことも可能です。
人材業界は競争が激しく、効果的な採用活動を行うことが企業の成長に直結します。そのため、CPAを適切に管理し、広告運用を最適化することが非常に重要なのです。
人材業界のCPAに影響を与える要因
人材業界のCPAは、様々な要因によって変動します。以下に、主な要因をいくつか紹介します。
- 業種や職種:求人対象となる業種や職種によって、応募者数や応募者の質が大きく異なります。これがCPAに影響を与えます。
- 地域:求人募集を行う地域の人口や経済状況によって、応募者数が変動します。都市部と地方では、CPAに差が出ることがあります。
- 季節:新卒採用や繁忙期など、時期によって求人需要が変化します。需要が高い時期はCPAが上昇する傾向にあります。
- 広告媒体:GoogleやYahoo!などの検索連動型広告、ディスプレイ広告、SNS広告など、媒体によってCPAは異なります。
- キーワード選定:適切なキーワードを選定することで、より効果的に求職者にアプローチできます。キーワードの選定はCPAに大きく影響します。
- ランディングページ(LP)の最適化:広告をクリックした求職者を適切なランディングページに誘導し、応募へと導くことが重要です。LPの最適化によってCPAを改善できます。
これらの要因を考慮しながら、自社の採用目標に合わせてWEB広告を運用していくことが求められます。
人材業界の総合型求人サイトのCPA事例
人材業界におけるWEB広告の費用対効果(CPA)は、サイトの種類や業態によって大きく異なります。ここでは、総合型求人サイトと特化型求人サイトにおけるCPA事例を比較し、それぞれの特徴と効果改善のポイントを解説します。
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新卒求人サイトのCPA実績
新卒求人サイトでは、Googleリスティング広告を活用し、面談予約(無料)を成果指標として設定しているケースが多くみられます。キーワードや広告文、ランディングページのブラッシュアップ、ヒートマップ分析などを通じて、効果改善に取り組むことが重要です。
ある新卒求人サイトのCPA実績は以下の通りです。
- 広告費:¥1,023,140
- クリック単価(CPC):¥791
- クリック数(CTs):1,293
- コンバージョン数(CV):72
- コンバージョン率(CVR):5.57%
- コンバージョン単価(CPA):¥14,210
新卒求人サイトでは、CPAが1万円台半ばと比較的高めに設定されているのが特徴です。これは、面談予約という成果指標の性質上、コンバージョンに至るハードルが高いためと考えられます。一方で、コンバージョン率は5%以上と高く、適切なターゲティングがなされていることがうかがえます。
経理人材求人サイトのCPA実績
経理人材に特化した求人サイトでは、転職サービスへの登録を成果指標とし、Googleリスティング広告を中心に運用しているケースが多くみられます。初月から一定の集客効率を実現し、Facebook広告との併用で更なる効果改善を図るのが一般的です。
ある経理人材求人サイトのCPA実績は以下の通りです。
- 広告費:¥605,432
- クリック単価(CPC):¥307
- クリック数(CTs):1,974
- コンバージョン数(CV):38
- コンバージョン率(CVR):1.97%
- コンバージョン単価(CPA):¥15,604
経理人材求人サイトでは、CPAが1万5千円程度と、新卒求人サイトと同等かやや高めの水準にあります。経理という専門性の高い職種に特化しているため、ターゲットが絞られている分、コンバージョン率は2%弱と新卒求人サイトよりも低くなっています。一方で、クリック単価は¥300程度と比較的安く、広告費を抑えつつ一定の成果を上げられているのが特徴です。
総合型求人サイトのCPA改善施策
総合型求人サイトにおけるCPA改善のポイントは、業務内容や地域名など、多岐にわたるキーワードを活用し、検索数を増やすことです。同時に、ランディングページの訴求内容とキーワード効率を検証し、最適化を図ることが重要です。
また、年齢層による効果の違いにも注目が必要です。年配層は獲得効率が高いものの、未経験者では就職決定率が低い傾向にあります。一方、若年層は獲得効率が悪化しがちですが、収益面での利益率が高いケースもあります。ターゲットの属性を見極め、適切な層にアプローチすることがCPA改善につながります。
さらに、案件数が多い場合は、動的検索広告(DSA)の活用も効果的です。DSAを利用することで、自動的に案件を選んで配信することができ、運用の効率化が図れます。ランディングページとリスティング広告を併用し、適切な訴求を行うことも重要なポイントです。
総合型求人サイトにおけるCPA改善には、キーワードの幅広い活用、年齢層での絞り込み、DSAの活用など、様々な施策が考えられます。サイトの特性や目的に応じて、最適な施策を組み合わせ、継続的な改善に取り組むことが求められます。
人材業界の特化型求人サイトのCPA事例
人材業界のWEB広告では、総合型求人サイトだけでなく、特定の職種や業界に特化した求人サイトも数多く存在します。これらの特化型求人サイトでは、ターゲットとなる求職者層が明確であるため、適切な広告運用を行うことで高い費用対効果を実現できる可能性があります。ここでは、いくつかの特化型求人サイトにおけるCPA(Cost Per Acquisition:1件の獲得あたりの費用)の実績を見ていきましょう。
タクシー転職サイトのCPA実績
タクシー業界に特化した転職サイトの事例では、Google/Yahooリスティング広告を活用し、転職サービス登録を成果指標としています。キーワードの選定では、「企業名×給料」などの組み合わせを活用することで、求職者の関心を引き付けることに成功しました。さらに、オフラインデータとの照合により、売上の最適化を図っています。
この事例での広告費は¥962,919、CPCは¥82、クリック数は11,813、CVは43、CVRは0.36%、CPAは¥22,393という結果になりました。タクシー業界という特定の業界に絞ることで、求職者の関心が高いキーワードを選定できたことが、比較的低いCPCの実現につながったと考えられます。一方で、CVRは0.36%と低めであり、今後の改善の余地がありそうです。
工場・倉庫求人サイトのCPA実績
工場・倉庫の求人に特化したサイトでは、Google/Yahooリスティング広告を活用し、求人応募・新規サービス登録を成果指標としています。この事例では、顧客データの傾向を分析し、最適な配信設定を行うことで効果を高めています。また、キーワードの追加とレスポンシブ検索広告(RSA)の活用も効果的でした。
広告費は¥1,219,435、CPCは¥148、クリック数は8,266、CVは99、CVRは1.2%、CPAは¥12,329という結果となりました。工場・倉庫という特定の職種に絞ったことで、求職者の関心が高く、CVRが1.2%と比較的高い水準を実現できています。また、CPAも¥12,329と、他の事例と比較して低めの水準となっています。
ベンチャー特化型転職サイトのCPA実績
ベンチャー企業に特化した転職サイトでは、Googleリスティング広告を活用し、転職サービス登録を成果指標としています。この事例では、「ベンチャー」というキーワードに徹底的に絞り込むことで、求職者の関心を引き付けることに成功しました。また、手動入札から自動入札への切り替えにより、効果の最適化を図っています。
広告費は¥453,472、CPCは¥807、クリック数は562、CVは29、CVRは5.16%、CPAは¥15,637という結果になりました。「ベンチャー」というキーワードに絞り込んだことで、CVRが5.16%と高い水準を実現しています。一方で、CPCが¥807と高めであるため、CPAは¥15,637となっています。ベンチャー企業に興味がある求職者層は限定的であるため、今後はさらなるキーワードの最適化が求められそうです。
製造系エンジニア転職サイトのCPA実績
製造業のエンジニアに特化した転職サイトでは、Google/Yahooリスティング広告を活用し、転職サービス登録を成果指標としています。この事例では、マイクロコンバージョンの設定により機械学習の最適化を図るとともに、EFO(Entry Form Optimization)によりフォーム内の離脱を軽減させています。
広告費は¥4,012,553、CPCは¥251、クリック数は16,015、CVは147、CVRは0.92%、CPAは¥27,296という結果となりました。製造系エンジニアという専門性の高い職種に絞ったことで、CPCは¥251と比較的低い水準に抑えられています。一方で、CVRは0.92%とやや低めであり、CPAは¥27,296と高めの水準となっています。エンジニア職の転職は慎重になりがちであるため、CVRの向上には時間がかかることが予想されます。
フリーランスエンジニア案件紹介サイトのCPA実績
フリーランスのエンジニアを対象とした案件紹介サイトでは、Google/Yahooリスティング広告を活用し、会員登録を成果指標としています。この事例では、マイクロコンバージョンの計測により品質スコアの改善を図るとともに、LPO(Landing Page Optimization)とEFOを併行して実施しています。
広告費は¥5,941,551、CPCは¥515、クリック数は11,541、CVは189、CVRは1.64%、CPAは¥31,437という結果になりました。フリーランスエンジニアという特定の働き方に絞ったことで、CPCは¥515と比較的高めの水準になっています。また、CVRは1.64%と平均的な水準ではあるものの、CPAは¥31,437と高めになっています。フリーランスエンジニアの案件獲得には、報酬面だけでなく、案件の魅力も重要であるため、サイト側のさらなる工夫が求められそうです。
以上、人材業界の特化型求人サイトにおけるCPAの事例を見てきました。特定の職種や業界、働き方に絞ることで、求職者の関心が高いキーワードを選定しやすくなり、CPCを低く抑えられる可能性があります。一方で、ターゲットが絞られるため、CVRやCPAの改善には工夫が必要になるでしょう。各サイトの特性を踏まえた上で、適切な広告運用を行うことが求められます。
人材業界のWEB広告運用におけるポイント
人材業界におけるWEB広告運用では、いくつかの重要なポイントがあります。ポイントを理解し、適切に活用することで、より効果的な広告運用が可能になります。
キーワードの幅広い活用
人材業界のWEB広告運用において、キーワードの幅広い活用は非常に重要です。求職者は、様々な検索キーワードを使って求人情報を探しています。そのため、広告主は、業務内容や地域名などを掛け合わせた多岐にわたるキーワードを活用することで、検索数を増やすことができます。
例えば、「東京 営業職」「大阪 事務職」「名古屋 ITエンジニア」といったキーワードを使うことで、より多くの求職者にアプローチできます。ただし、単にキーワードを増やすだけでは十分ではなく、LPの訴求内容とキーワード効率の検証が必要不可欠です。使用するキーワードに関連性の高いLPを用意し、そのキーワードでの広告効果を測定・分析することで、より効率的な運用が可能になります。
また、競合他社の広告キーワードを調査し、自社の強みを活かせるキーワードを選定することも重要です。業界特有の専門用語や、求職者が使いそうな言葉を積極的に取り入れることで、競合他社との差別化を図ることができます。
年齢層での絞り込み
人材業界のWEB広告運用では、年齢層による効果の違いを理解することも重要です。一般的に、年配層の求職者は、若年層に比べて獲得効率が高い傾向にあります。これは、年配層の求職者が、より明確な目的意識を持って求人情報を探しているためです。
ただし、未経験者の場合、就職決定率が低くなる傾向があるため、注意が必要です。
一方、若年層の求職者は、獲得効率が悪化しやすいものの、収益面での利益率が高いケースもあります。これは、若年層の求職者が、長期的なキャリア形成を重視し、より高い給与を求める傾向があるためです。そのため、人材業界のWEB広告運用では、年齢層ごとの特性を理解し、ターゲットを適切に設定することが重要です。
年齢層に合わせたLPの訴求内容や、年齢層ごとの広告配信設定を行うことで、より効果的な広告運用が可能になります。
動的検索広告(DSA)の活用
人材業界のWEB広告運用では、案件数が多い場合、動的検索広告(DSA)の活用が効果的です。DSAは、LPの内容に合わせて自動的に広告を配信する仕組みで、膨大な数の求人案件を効率的に広告配信することができます。
特に、求人サイトのように、多数の求人案件を掲載している場合、DSAを活用することで、運用の手間を大幅に削減できます。ただし、DSAを活用する場合、LPの最適化が重要になります。DSAは、LPの内容を基に広告を自動生成するため、LPの内容が不十分だと、効果的な広告配信ができません。そのため、DSAを活用する場合は、求人案件ごとに最適化されたLPを用意する必要があります。
また、DSAとリスティング広告を併用することで、より効果的な広告運用が可能になります。DSAで自動的に配信される広告と、手動で設定したリスティング広告を組み合わせることで、求職者のニーズに合わせたきめ細かな広告配信が可能になります。さらに、DSAの運用データを分析することで、新たなキーワードや広告文案のアイデアを得ることもできます。
DSAの運用で効果の高かったキーワードやLPを分析し、リスティング広告に活かすことで、より効率的な広告運用が実現できるでしょう。
まとめ
人材業界のWEB広告運用では、CPAの把握と管理が効果的な採用コスト最適化の鍵となります。総合型・特化型求人サイトにおける実際のCPA事例から、キーワード選定、年齢層に合わせたアプローチ、動的検索広告の活用など、様々な運用テクニックの重要性が明らかになりました。
本記事で紹介した知見を活かし、自社の採用目標や予算に合わせた広告運用を行うことで、優秀な人材の獲得と採用コストの最適化を実現できるでしょう。WEB広告の効果的な運用は、人材業界における競争力の源泉です。是非、本記事を参考に、自社の採用活動に役立ててください。
参考文献
https://dgtrends.com/blogs/human-resources/

River編集部
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