リスティング広告の業界別の平均CVRを解説
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リスティング広告の効果を最大化するには、CVR(コンバージョン率)を正しく理解し、業界特性を踏まえた分析と施策が不可欠です。
本記事では、CVRの基本概念や業界別の平均値、CVRを向上させる要因について詳しく解説します。
自社の広告パフォーマンスを評価するうえで、業界平均値とのベンチマークは欠かせません。それぞれの業界に応じたCVR分析と戦略の最適化が求められます。他にも、広告の品質改善、ランディングページの最適化、ターゲティングとパーソナライズの高度化など、CVR向上につながる施策を実践的に学べます。
リスティング広告の効果を飛躍的に高めたい方は、ぜひ本記事をご一読ください。
リスティング広告におけるCVRの概要
本章では、リスティング広告におけるCVRについて概説します。CVRの定義と重要性、リスティング広告におけるCVRの位置づけ、そしてCVRと他の広告指標との関係性について解説していきます。
CVRの定義と重要性
CVR(コンバージョン率)とは、広告のクリック数に対して、目標となる行動(コンバージョン)を起こした割合のことを指します。コンバージョンには、資料請求、問い合わせ、購入、会員登録などが含まれます。
CVRは、広告の効果を測定する上で非常に重要な指標の一つです。広告のクリック数が多くても、CVRが低ければ、広告の目的を達成できていないことになります。逆に、クリック数が少なくてもCVRが高ければ、広告が効果的に機能していると言えます。
CVRの計算方法は以下の通りです。
CVR=コンバージョン数÷LPアクセス数(広告クリック数)×100
例えば、100のLPアクセス数に対して2件のコンバージョンがあった場合、CVRは2%になります。同じ100のアクセス数でも、5件のコンバージョンがあれば、CVRは5%に上がります。一方、200のアクセス数で2件のコンバージョンの場合、CVRは1%になります。
リスティング広告におけるCVRの位置づけ
リスティング広告は、検索連動型広告とコンテンツ連動型広告の2種類に大別されます。
検索連動型広告は、ユーザーが検索エンジンで特定のキーワードを検索した際に表示される広告です。一方、コンテンツ連動型広告は、ウェブサイトの内容に関連した広告が表示されます。リスティング広告におけるCVRは、業界によって大きく異なります。
一般的に、検索連動型広告のCVRがコンテンツ連動型広告よりも高い傾向にあります。これは、検索連動型広告では、ユーザーが既に特定の商品やサービスに興味を持っているためです。
例えば、出会い系の業界では、検索連動型広告のCVRが9.64%と非常に高くなっています。一方、コンテンツ連動型広告では3.34%と、検索連動型広告の3分の1程度になっています。法律、消費者向けサービス、自動車などの業界でも、同様の傾向が見られます。
CVRと他の広告指標との関係性
CVRは、他の広告指標とも密接に関係しています。特に、クリック単価(CPC)とコンバージョン単価(CPA)は、CVRと深く関わっています。
CPCは、広告1クリックあたりの費用を表します。CPCが高いほど、広告主の広告費用が高くなります。一方、CPAは、1件のコンバージョンを獲得するための費用を表します。
CPAは、以下の式で計算されます。
CPA=広告費用÷コンバージョン数
CVRが高ければ、同じ広告費用でより多くのコンバージョンを獲得できるため、CPAを下げることができます。逆に、CVRが低ければ、CPAは高くなってしまいます。したがって、CVRを改善することは、リスティング広告の費用対効果を高める上で非常に重要です。
また、CVRは、広告のクオリティスコアにも影響を与えます。クオリティスコアは、広告の品質を表す指標で、広告の関連性、ランディングページの質、広告のCTR(クリック率)などを基に算出されます。CVRが高い広告は、ユーザーにとって有益であると判断され、クオリティスコアが高くなる傾向にあります。
クオリティスコアが高いと、同じ広告費用でより上位に表示されるようになります。
業界別のCVR平均値
リスティング広告の成果を測定する上で、CVRは非常に重要な指標です。CVRは広告クリック数に対するコンバージョン数の割合を示しており、広告の質や効果を評価するのに役立ちます。
しかし、CVRの平均値は業界によって大きく異なります。自社の広告パフォーマンスを正しく評価するためには、自社が属する業界のCVR平均値を把握しておく必要があります。
ここでは、検索連動型広告とコンテンツ連動型広告における業界別のCVR平均値を見ていきましょう。
検索連動型広告における業界別CVR平均値
検索連動型広告は、ユーザーが検索エンジンで特定のキーワードを検索した際に表示される広告です。ユーザーの検索意図に沿った広告が表示されるため、一般的にコンバージョン率は高くなる傾向にあります。
検索連動型広告のCVR平均値を見ると、出会い系が9.64%と最も高く、次いで法律(6.98%)、消費者向けサービス(6.64%)、自動車(6.03%)と続きます。これらの業界では、ユーザーの強い購買意欲や明確な目的意識が高いCVRにつながっていると考えられます。
一方、不動産(2.47%)や弁護士(1.96%)などの業界では、CVR平均値が相対的に低くなっています。これらの業界では、ユーザーの意思決定プロセスが長く、複数回の接点を経てコンバージョンに至るケースが多いため、単発の広告クリックでのCVRは低くなる傾向にあります。
コンテンツ連動型広告における業界別CVR平均値
コンテンツ連動型広告は、ウェブサイトやアプリの内容に合わせて表示される広告です。ユーザーの興味関心に沿った広告が表示されるため、ブランド認知度の向上や潜在顧客の取り込みに効果的ですが、一般的にCVRは検索連動型広告よりも低くなります。
コンテンツ連動型広告のCVR平均値を見ると、出会い系が3.34%と最も高く、次いで法律(1.84%)、求人サービス(1.57%)、自動車(1.19%)、金融・保険(1.19%)と続きます。
これらの業界では、ユーザーの潜在的な興味関心を捉えた広告が効果的に機能していると言えます。一方、家庭用品(0.43%)や教育(0.50%)、観光業(0.51%)などの業界では、CVR平均値が1%を下回っています。これらの業界では、広告とユーザーの興味関心のマッチング精度を高めることが課題だと考えられます。
IT業界、人材業界、SaaS業界のCVR平均値の比較
次に、IT業界、人材業界、SaaS業界のCVR平均値を比較してみましょう。これらの業界は、デジタル化の進展とともに広告需要が高まっており、CVR平均値の動向が注目されています。
検索連動型広告のCVR平均値を見ると、求人サービス(人材業界)が5.13%、技術(IT業界)が2.92%となっています。求人サービスは明確な目的意識を持ったユーザーが多いため、高いCVRにつながっていると考えられます。一方、技術(IT業界)はユーザーの背景知識や理解度にばらつきがあるため、CVRは相対的に低くなる傾向にあります。
コンテンツ連動型広告では、求人サービス(人材業界)が1.57%、技術(IT業界)が0.86%のCVR平均値となっています。求人サービスは潜在的な求職者に向けた情報提供が効果的に機能する一方、技術(IT業界)は広告とユーザーの興味関心のマッチング精度に課題があると考えられます。SaaS業界のCVR平均値は公開データに含まれていませんが、BtoB全体の平均値(検索連動型広告3.04%、コンテンツ連動型広告0.80%)が参考になります。
SaaS業界では、製品の理解促進と試用獲得が重要な課題であり、ユーザーの理解度に合わせた適切な広告表現や情報提供が求められます。IT業界、人材業界、SaaS業界では、それぞれの業界特性を踏まえた広告戦略が必要です。ユーザーの目的意識や興味関心を的確に捉え、適切な広告表現とランディングページ設計によってCVR向上を図ることが重要だと言えます。
CVRを向上させるには
CVRは、リスティング広告の効果を測定する上で重要な指標の一つです。CVRを向上させるためには、様々な要因を考慮し、最適化を行う必要があります。
本セクションでは、CVRを向上させる主要な要因として、広告の品質、ランディングページの最適化、ターゲティングとパーソナライズについて詳しく解説していきます。これらの要因を理解し、適切に対策を講じることで、リスティング広告のパフォーマンスを大幅に改善することができるでしょう。
広告の品質とCVRの関係性
広告の品質は、CVRに直接的な影響を与える重要な要因です。広告の品質が高ければ、ユーザーは広告に魅力を感じ、クリックする確率が上がります。その結果、CVRの向上につながります。広告の品質を高めるためには、広告文やキーワードの最適化が不可欠です。
広告文は、ユーザーの関心を引き、問題解決や価値提供を明確に伝えるものでなければなりません。また、キーワードは、ユーザーの検索意図に合致し、広告文との関連性が高いものを選ぶ必要があります。加えて、広告の品質スコアも重要な指標の一つです。品質スコアは、広告の関連性、期待されるクリック率、ランディングページの質を総合的に評価したものです。
品質スコアが高い広告は、より上位に表示され、クリック単価も低く抑えられる傾向にあります。つまり、高品質な広告は、CVRの向上とコスト削減の両方に貢献するのです。
ランディングページ最適化によるCVR改善
ランディングページは、広告をクリックしたユーザーが最初に訪れるページです。ランディングページの質が低ければ、せっかく広告をクリックしてもらっても、コンバージョンに結びつきません。そのため、ランディングページの最適化は、CVR向上に欠かせない取り組みと言えます。
ランディングページの最適化では、ユーザービリティ、ページ速度、モバイル対応、コンテンツの質などを総合的に改善していく必要があります。ユーザービリティを高めるには、ページ構成を見直し、目的のアクションに誘導しやすいデザインを採用します。また、ページ速度の改善やモバイル対応は、ユーザー体験の向上につながり、CVRのアップが期待できます。さらに、ランディングページのコンテンツは、広告文との一貫性を保ちつつ、ユーザーの期待に応えるものでなければなりません。
商品やサービスの魅力を明確に伝え、信頼性を高める要素を盛り込むことで、コンバージョンへの障壁を取り除くことができます。
ターゲティングとパーソナライズがCVRに与える影響
ターゲティングとパーソナライズは、CVR向上に大きく貢献する要因です。ターゲティングにより、広告を見込み客に効果的に届けることができます。また、パーソナライズを行うことで、ユーザーの興味・関心に合わせた広告表示が可能になり、よりコンバージョンにつながりやすくなります。
ターゲティングでは、ユーザーの属性、行動、関心領域などを分析し、最適な対象者を絞り込むことが重要です。リスティング広告の場合、キーワードの選定やマッチタイプの設定が、ターゲティングの精度に大きな影響を与えます。適切なキーワードを選び、ユーザーの検索意図に合致した広告を表示することで、CVRの向上が見込めます。パーソナライズにおいては、ユーザーの過去の行動や興味関心に基づいて、広告の文言や表示内容を最適化します。例えば、過去に特定の商品を閲覧したユーザーに対しては、その商品に関連する広告を表示するといった具合です。
パーソナライズされた広告は、ユーザーにとって relevance が高く、クリック率やCVRの向上につながります。ターゲティングとパーソナライズを効果的に組み合わせることで、リスティング広告のCVRを大幅に改善することが可能です。ユーザーの属性や行動を分析し、適切なセグメントを設定した上で、一人ひとりに最適化された広告を配信する。この積み重ねが、CVR向上の鍵を握っているのです。
業界特性を考慮したCVRの分析と活用
リスティング広告の効果を最大化するためには、業界ごとの特性を理解し、適切なCVR分析に基づいた戦略を立てることが不可欠です。
本記事では、業界別のユーザー行動とCVRの関係性、自社のCVRと業界平均値とのベンチマーク、およびCVR分析に基づく広告戦略の最適化について、詳しく解説していきます。
業界別のユーザー行動とCVRの関係性
業界によってユーザーの行動パターンは大きく異なり、それがCVRに直接影響を与えています。例えば、出会い系や法律関連の業界では、ユーザーの緊急性や切実さが高いため、CVRが他の業界と比べて高くなる傾向にあります。一方、不動産や家庭用品などの業界では、ユーザーが比較検討に時間をかける傾向があるため、CVRは相対的に低くなります。
業界ごとのユーザー心理や行動パターンを深く理解することが、効果的なリスティング広告運用の第一歩と言えるでしょう。具体的には、出会い系や法律関連の業界では、ユーザーの強い課題解決意欲に訴求するようなコピーライティングやランディングページ設計が有効です。
一方、不動産や家庭用品の業界では、ユーザーの比較検討を助ける詳細な情報提供や、複数回の接点を設けるようなリマーケティング広告の活用が効果的と言えます。
自社のCVRと業界平均値とのベンチマーク
自社のリスティング広告のCVRを業界平均値と比較することで、現状の広告効果を客観的に評価し、改善点を明確にすることができます。例えば、自社のCVRが業界平均を下回っている場合、広告コピーやランディングページの最適化、ターゲティングの見直しなどが必要と考えられます。逆に、自社のCVRが業界平均を上回っている場合は、現在の施策が効果的に機能していると判断できます。ただし、業界トップ水準のCVRを目指すためには、常に新たな施策にチャレンジし、PDCAサイクルを回し続けることが重要です。
自社のCVRと業界平均値とのベンチマークを行う際は、単にCVRの数値だけでなく、広告費用対効果(ROAS)や顧客生涯価値(LTV)なども合わせて分析することをおすすめします。これにより、より総合的な広告効果の評価が可能になります。
CVR分析に基づく広告戦略の最適化
CVR分析の結果を踏まえて、広告戦略の最適化を図ることが重要です。具体的には、以下のような施策が考えられます。
- CVRが高いキーワードや広告グループへの予算配分の最適化
- CVRが低いキーワードや広告グループの入札価格の調整やネガティブキーワードの追加
- 広告コピーやランディングページのA/Bテストによる最適化
- ユーザーの行動分析に基づくリマーケティング広告の活用
これらの施策を継続的に実施し、PDCAサイクルを回していくことで、自社のリスティング広告のCVRを向上させ、広告効果を最大化することができます。ただし、CVRは常に変動するものであり、定期的な分析と戦略の見直しが欠かせません。また、CVRの向上には、広告運用だけでなく、ランディングページや商品・サービスそのものの改善も重要な要素となります。
広告担当者と他部署との連携を密にし、ユーザー視点でのサイト体験の最適化に努めることが、高いCVRを維持するための鍵と言えるでしょう。
まとめ
本記事では、リスティング広告の効果を測定する上で重要な指標であるCVRについて、業界別の平均値と改善施策を詳しく解説しました。CVRは広告クリック数に対するコンバージョン数の割合を表しており、業界によって大きな差異があることが明らかになりました。
IT業界、人材業界、SaaS業界などの注目業界では、ユーザーの行動特性を踏まえたCVR分析と広告戦略の最適化が不可欠です。広告の品質改善、ランディングページの最適化、ターゲティングとパーソナライズの高度化などの施策を通じて、CVRを向上させることができます。
自社の広告パフォーマンスを正しく評価し、業界トップ水準のCVRを目指すためには、定期的なデータ分析とPDCAサイクルに基づく継続的な改善が欠かせません。リスティング広告の効果を最大限に引き出し、事業成長を加速させるヒントが満載の本記事を、ぜひ業務にお役立てください。

River編集部
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